長梢剪定と言えば、巨峰のX字型自然系整枝、ぶどう栽培における基本。
この栽培方法を基に、様々な栽培方法が考えられています。
私は、師走朔日(新暦1月から)頃から始め、師走中に終わるように作業しています。
その後、平行整枝短梢剪定の本剪定に入ります。
特徴
長梢剪定では、冬、春、夏の3回の剪定で新梢管理をします。
冬の剪定、春の芽かき、夏の夏季剪定。
新梢を減らしながら樹勢を調整するため、どのような品種でも栽培可能です。
まばらに房を付けるので作業効率が良くありませんが、少ない面積で多くの房を付ける事ができます。
樹冠が完成している樹と樹冠拡大中の樹では、方法(考え方)が違います。
必要な芽数は?というと、巨峰で1反歩、3500房です。
2.5m角では、3500房÷1000㎡×2.5m×2.5m=21.875房
2.5m角に22房なので、結果母子数(枝数)は、22房×3(有核巨峰3枝1房)=66本
結果母子66本なので、芽数も66芽。
樹冠が完成している樹
樹冠が決まっているので剪定の目的は、現状維持、微調整が主な目的。
剪定と言いますが、剪定ではなくて、整枝・剪定です。
整枝をしてから、剪定をします。
整枝なので、枝(側枝)は必ずといっていいほど動かします。
肘を曲げ伸ばし(上腕を亜主枝、前腕を側枝、手を結果母子)するように、側枝、結果母子を動かして昨年と同じ棚面をカバーするように配置します。
樹冠面積を一定に保つため、主幹から主枝の先端に向かって剪定をすると作業しやすいと思います。
主枝が受け持つ棚面積(葉面積)が大きい順に剪定をしていくと良く、第一主枝から剪定をすることが基本。
枝の太さは、主枝>亜主枝>側枝>結果母子
2.5m角に配置する芽数は、上記の計算から66芽。
1枝に平均8芽なので、66÷8=8.25本
8芽の枝(芽かき後の芽数)を9本配置です。
誘引をはずしながら、候補を決める
第一主枝の誘引を外していきます。
剪定をする順番に、枝に沿って外していきます。
枝に沿って外していくので、側枝が持つ面積、結果母子の込み具合が分かります。
先端候補の側枝を選び、どこに配置するのかをイメージして剪定に取り掛かります。
整枝・剪定
候補に挙げていた先端候補側枝を動かし、先端とする位置に配置します。
下から棚を見上げると、枝の配置が変わっているのが分かります。
空いている空間が大きい場合には、先端の位置を変えるか、それもと他の側枝から枝を配置するのか、来年の先端候補の側枝なのか、など考慮して剪定していきます。
先端の枝が他の枝に負けないようにする。
気を付ける事はこれだけです。
なぜなら、翌年には更新してしまうので。
芽数は、主枝先端で17芽前後、他は12芽前後、切る位置は節間が、短い3芽、長い3芽、短い3芽、長い3芽、ここで切ります。
この時に切口が枯れていないことを確認してくだい。枯れていれば枯れていないところまで切り戻します。
ハサミと切る角度は、3月になると切口から水がでてくるので、水が芽にあたりにくいように斜めに切ります。
多いと感じるかもしれませんが、通常であれば芽かきで先端2芽、基部2芽は取り除くので、8芽残ります。
ただし、先端は基部2芽残すので、10芽残ります。
2.5m角に8芽の枝を8本配置なので、12芽の枝を8本配置します。
- ハサミを入れる位置は芽と芽との間、切口が枯れて(茶色)いないこと。
- 結果母子の間隔が均等に配置され、混んでいないこと。
- 先端の位置、側枝が持つ面積(範囲)は、毎年ほぼ同じ
領主(主幹)が家来(最大主枝4本)に土地を任せることをイメージです。
領主=人、家来=主枝、亜主枝、側枝、結果母子、土地=面積(葉面積)
長男(第一主枝)に一番広い面積を任せる、・・・ので、力が強い。
といった感じです。
実践
樹冠が完成しているので、基本的には面積を広げることはありません。
主幹側、第一主枝(自然系X字型)から。
まず、主幹側から第一主枝に誘引したテープナーを取り外しながら先端まで行きます。
亜主枝、側枝、結果母子とほぼ全ての枝を触りながら歩くので、混んでいる箇所、偏っている箇所など感覚的にわかります。そして、先端の位置は決まっているので、先端の代わりになる側枝候補を決めておきます。
側枝の使い方ですが、胸の前に肘を曲げて手をおき、肘を起点に手を前に、胸の前と交互に動かせるように、今年、翌年と交互に使います。
したがって、今年、手を前するのと同じように側枝を使う場合、外側(体と反対側)の側枝が来年の先端になります。再来年は、手が胸の前にあるので、内側(体側)の側枝が再来年の先端になります。
内側外側を交互に使い、切り戻しをすることで先端の位置が変わりません。
主幹に一番近い亜主枝の基部側側枝の整枝をし剪定、そのまま、亜主枝先端まで整枝剪定をします。
この時、他の亜主枝(第二主枝、第三主枝)と重なる場合がでてくるかもしれませんが、基本的は第一主枝の亜主枝が受けもつ範囲です。
それぞれの先端が他の枝に負けないように芽数を残してください。
亜主枝の先端まで剪定し終えたら、トップジンMペーストを塗布します。
塗布する場所は、切口の直径1㎝程度より大きい箇所です。
第二主枝、第三主枝、第四主枝も同様に作業をして終了です。
樹冠拡大中の樹
ぶどうの樹の骨格を作っていくので、成木までの数年間は非常に大切です。
樹(地上)の広がりに対して、根(地下)の広がりはゆっくりしているので、樹に負担をかけ過ぎないように育てていきます。
樹冠が完成している樹の剪定と違い、原則があので注意しながら剪定をします。
有核巨峰1本で樹冠約225㎡(2畝とちょっと、縦15m×横15m)を基準にしています。
新梢の強さ
新梢の強さ(伸び方)に傾向があります。
芽と反対側に蔓がある節とない節があり、蔓なし、蔓あり、蔓あり、蔓なし、蔓あり、蔓あり・・・と繰返し続きます。
新梢の強さ(伸び方) | |
蔓なし | 強い |
蔓あり(下) | 普通 |
蔓あり(上) | 弱い |
必ず当てはまるとは言えいけれども、表のような傾向があります。
気を付ける枝
車枝、ハサミ枝、負け枝を作らないように気をつけます。
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